親子関係を円滑にするコミュニケーション術「親業」が近年、関心を集め、県内で開かれる勉強会の数が急増している。金沢市教委も市民の声を受けて家庭教育の出前講座に親業を取り入れており、相手の気持ちをくみ取りながら自分の考えを表現する手法は、夫婦や職場の人間関係にも応用できて、親に限らず幅広い層の人たちが勉強会に参加しているという。
「親業」は子どもの心を健やかに育む方法として、米国の臨床心理学者トマス・ゴードン氏が考案した。「話す」「聞く」「対立を解く」ことを基本に、互いの気持ちを的確に伝えあう対話の仕方を学ぶ。
県内では、親業訓練協会認定の親業シニアインストラクター藤田香津恵さんと、親業インストラクター渋谷さとみさんの二人が講演などを行っている。藤田さんによると昨年一年間で、一昨年の二倍にあたる約40の講演会に招かれたという。
25日には、金沢市の出前講座がJTBサポート中部北陸営業所で開かれ、添乗員ら約20人が藤田さんから接客にも応用の聞く親業の基本を学んだ。苦情に対処するシュミレーションを行い、藤田さんは「理屈ではなく、相手が何に不満を感じたのかを聞こうとする姿勢が大切」などとアドバイスした。
24日には新神田小学校で開かれた育友会主催の講演会で、渋谷さんが講演した。渋谷さんは3月から北國新聞文化センターの新設講座でも講師を務める。
10年以上も活動をしている藤田さんは「個々の生活が重視されるいま、家族の対話が不足がちになっている。仕事や生活の忙しい人ほど親業を学び、気持ちを伝え合うことの大切さを見直してほしい」としている。
相手の気持ちをくみ取る会話術を学ぶ参加者=(金沢市内)